Intel Arc B580 Limited Edition 購入レビュー
投稿日:2025/5/20 更新:2025/5/21 コメント 0件 自作パソコン GPU, Intel Arc B580 Limited Edition, PCSHOPアーク, リファレンスモデルIntel Ark B(Battlemage)シリーズの新しいグラフィックスボード「Intel Arc B580 Limited Edition(31P06HB0BA)」を買ってみました。ゲームは全くしないので今のところはほぼほぼ「TMPGEnc Video Mastering Works8」でのエンコードがメインです。
TMPGEnc Video Mastering Works 8での計測データの記事です。
目次
Intel Arc B580 Limited Edition 購入までの経緯
GPU(MSI GeForce GTX 1050 GAMING X 2G)のNVENCを主に使っていて速度や画質に関しては特に不満はなかったんですが、DisPlayPortの接触不良があったりしてガタが出てきました。
また、TMPGEnc Video Mastering Works 8を導入したのを機に最新のGPUでAV1エンコードなども体験したくなったので以下の製品で検討していました。
- Intel Arc B580 (2024年12月発売)
- NVidia GeForce RTX4060 (2023年6月頃)
- NVidia GeForce RTX5060 (2025年5月20日発売)
RTX 5060(無印)が2025年5月19日頃に発売されるみたいなのでそれらの価格や情報を見てから買おうと思っていたんですが、あまり評判も良くないようです。
ミドルクラス市場向けGPU「GeForce RTX 5060」搭載カードが5月20日に発売。価格は5万5800円から
見た目だとリファレンスモデルの「Intel Arc B580 Limited Edition」が圧倒的に好みなんですが、消費電力が190Wというのと40cmと今までのグラボより長いのでM.2冷却用ファンの位置を変える必要がありますし、PCケース(Thermaltake A500)のHDDトレイのレイアウトを変える必要があるかも知れないのでちょっと躊躇していました。
ただ、アスキーの「インテル新GPU、Arc B580の実力は?AI&動画エンコードは前世代より超強力に」という記事でハードウェアエンコードが4060よりも速いというのに強く魅力を感じましたし、リファレンスモデルに惹かれて「Intel Arc B580 Limited Edition」にしました。
4月にはアマゾンに10個ぐらい在庫があったのでのんびり構えていたんですが、少しずつ減っていきつい先日、在庫0になって有名どころの在庫が一切なくなりました。
ツクモやパソコン工房など専門ショップで買いたかったんですが、有名どころだとアマゾンにしか在庫がなくてここで買うしかないかなぁ~と思っていたんですが、ようやく5月9日にアマゾンの在庫が復活したので購入手続きを進めていると「商品パッケージのまま配送」との記載がありました。
商品パッケージのまま配送。*Amazonによる追加の梱包*を省き、梱包を簡素化しています。
流石にパッケージにラベルを貼られて送られてくるのは嫌だったのでもう何点か買って段ボールで送ってもらう方法もあるかと思ったんですが、同梱される保証もないのですし、別の方法を探していたらギフト設定にしてギフトラッピング(354円)する方法もあるみたいです。
取り敢えず、よその在庫も復活するかもとしばらく様子を見ていたら「PCワンズ」や「ソフマップ」の在庫も復活。
PCSHOPアークでは購入したことなかったですが、昔から知っていた店舗ですし、夜中に1,527円引きのクーポンもあったり、支払いにAmazon Payも使えたのでここで購入しました。因みに価格は48,273円だったんですが、Amazon Payだとアマゾンのポイントは使えませんでした。
商品ページのに以下のようなことが記載されていました。自作初心者だとこのようなことは分からないことも多いのでこの辺は親切ですよね。
※Intel Arc B580を搭載可能なシステムは下記の通り。
・第10世代 Intel Core プロセッサー以降(+ Intel 500/400シリーズ搭載マザーボード / Resizable BAR を有効にする必要があります)
・AMD Ryzen 5000/3000シリーズ プロセッサー(3000Gシリーズ除く)以降( + AMD 500シリーズ搭載マザーボード /
Smart Access Memory を有効にする必要があります)
上記以外で、Resizable BARもしくはSmart Access Memoryに対応しないシステムは非推奨となります。
Intel Arc B580 Limited Edition 仕様
出力インターフェース 3× DisplayPort 2.1 1× HDMI 2.1
Xe-core数 20 (レンダリング・スライス 5 / レイ・トレーシング・ユニット 20 / インテル Xe Matrix Extensions(XMX) エンジン 160 / Xe ベクトルエンジン 160)
ビデオメモリータイプ GDDR6
ビデオメモリー容量 12GB
メモリバス 192-bit
グラフィックスクロック 2670MHz (最大)
メモリスピード 19Gbps
最大同時出力画面数 4
対応バスインターフェース PCI-Express (4.0) X8 (×16形状)
対応API DirectX 12 Ultimate/OpenGL 4.6/Vulkan
本体サイズ 272(L)mm x115(W)mm x42(H)mm
重量 779g
占有スロット 2SLOT占有
補助電源コネクタ 8Pin x1
トータルボードパワー(TBP) 190W
推奨システム電力 600W
冷却方法 セミファンレス
保証期間 3年
余談ですが今日(2025/05/20)は、購入検討したRTX5060(無印)の発売日でしかもCOMPUTEX2025でIntel Arc B580が二つ載ったデュアルGPUが出るとかいろいろと情報が出てきましたが、もし待っていたら悩みが増えたでしょうねぇ。
開封
流石、専門店と言った梱包です。
発掘。
この段ボールは専用品みたいなのでもしアマゾンで買っていたらこれにラベルが貼られて送られてきたのかも知れません。まぁこれに貼られてくるのなら許せますね。
ベトナム製。
シールを剥がさないと開封できない仕様になっています。
ふたを開けると後ろの方がせりあがるようになっています。
不織布とかちょっと違う感じですが布が掛けられています。
ペーパークラフト的なおまけがついているようですが興味がないのでスルーします。
全く詳しくないですがクラスB機器だそうです。
マット仕上げが美しいです。
マット仕上げだと傷がつくと目立つので布かなんか柔らかい素材のに置いて作業した方がよさそうです。
バックプレートは磁石に着きませんし、叩いた時の音が軽いので樹脂製だと思います。ただ、さらさらしたと艶消し塗装でまったくそれっぽくは見えません。
ネジのところに一カ所だけシールが貼られていましたが剥がしたら保証が無くなりますよ的なものだと思います。
8pinコネクタは下側にツメが付いたタイプです。
「intel ARC」の部分は白く点灯しますがアプリで消したり明るさを調整したりはできないようです。どうしても消したい場合は分解してコネクタを引き抜く等の作業が必要だと思います。
コネクタは左からDisplayPort、DisplayPort、DisplayPort、HDMIです。
コネクタカバーはラバー製。
接続端子は異常なし。
よく見ると直線的なパターンじゃなくてアルファベッドの「M」のような感じにも見えます。どこかの動画やっていましたがこれはPCIe Gen5に対応したものらしいです。
取り付け
以前購入していたスリーブケーブル(セット品)から8pinケーブルを引っ張り出しました。
2本あるもう一方のケーブルのピンが抜けていました。
ハネの部分をカッターの刃などで起こしてから元の位置に戻しておきました。
6pinの延長ケーブルの取り外し。
電源の方から繋ぐとスリープケーブルのクセで自由に配線できなかったので先にGPUに繋いでからやりました。
HDDトレイとGPUの隙間は20mm、電源隠しまでの高さは108mmと言ったところです。
見た目は下がっているように見えなかったんですが、水準器で水平を取ったら微妙に右の方に下がっていました。
780gぐらいみたいなのでそんな重いグラボじゃないですがその内、GPUステイとかを設置して水平にするつもりです。
下図の素の状態の明るさですが、ちょっとロゴのLEDが眩し過ぎるのであとで車用スモークフィルムを貼ってギラツキを落としました。ガラス扉を締めるとほとんど見えないので気になりません。
GPUに接続している端子が燃えて溶ける動画とか最近よく見るので後でスリーブケーブルを取り外して電源から直結でつなぎ直しました。
分岐ケーブルがばらけて収まるが悪いのでマスキングテープで固定しています。
Intel Graphics Software
「Intel Graphics Software version 25.14.1302.1」の画面です。ホーム画面でResizable BARが有効化などを確認できます。
プロフィールメニューは、個人的には使わないので後で非表示にしておきました。
グラフィックスメニュー
ディスプレイメニュー
パフォーマンスメニューでGPUの消費電力やファンの回転数などを確認できます。
ビデオメニュー
通知メニュー。
インテルドライバーサポートアシスタントからずっと通知が来てウザいのでアンインストールしたらこのようなメッセージが出ていました。
ホームメニューから各デバイスを選択した場合もこちらのページに移行します。
ウィンドウカラーや通知の有無などを設定可能です。
バージョン情報とありますがソフトウェアのバージョンはこの画面では確認できないようです。
Intel Graphics Softwareにチューニング・メニューがない?!
Intel Graphics Softwareにはパフォーマンスメニューにチューニング関係のメニュー「チューニング(Tuning)」があるらしいですが当環境ではありませんでした。
ただある時、カーソルを動かしている時になんかちらっと文字が見えたのでその辺を探っていたら「その他」という文字が浮かび上がり、目を凝らしてよく見ると文字の下に黒い三点マーク(…)がありました。
三点マークをクリックすると「チューニング(ベータ版)」というメニューが浮かび上がったのでそちらをクリック。
するとなんと「チューニング(ベータ版)」の項目が出現しました。ただ単にボタンが見えにくくなっていただけでした。
設定でカラーテーマを「ライト」にすると普通に見えます。ただ、たまに表示されないこともあるようですがその時は一度終了(タスクトレイ)させてやると表示されていました。
GPUチューニングの基本設定では、電圧制限、電力制限、周波数オフセットを設定できます。
高度な設定では電圧周波数曲線をグラフで設定できるようです。
VRAMチューニングではメモリ速度を弄れるみたいです。
ファンと温度のチューニングの基本設定では温度制限やファンの目標速度を設定できます。ただ、温度制限なのに単位が%なのがよく分かりません。
高度な設定では、ZeroRPMと言って設定温度まで温度が上がらないとファンが回らない温度をグラフで設定できます。
取付後の状態
旧GPUドライバーを削除してからArk用ドライバー「インテル® Arc™ & Iris® Xe Graphics – Windows(32.0.101.6793)」をインストールしたら、大量のアプリがインストールされていましたが初期不良もなく動いているようです。
GPUを交換する前にシステム全体の消費電力をワットチェッカーで計測したら135W前後でした。core i9-9900Kの時はアイドル時の消費電力は100Wを超えていなかったと思うんですが、今は3.5インチHDD7台、光学ドライブ、GPU、ファン8機も稼働させているのが原因か、また別の原因があるのかはちょっと調べてみないと分かりませんがちょっと高いですよね。
GPU交換後のアイドル時の消費電力は145W前後とちょっとだけ上がっています。ハードウェアエンコードするだけならGPUから映像出力する必要はないので取り外してみたら10W程度下がって125W前後まで下がった感じですが、Intel Graphics Softwareで見るとGPU自体の消費電力は常に20W程度あるようなのでGPU自体の消費電力は下がっていないようです。BIOSのASPM設定で下げられるようなので後日やってみる予定です。
ファイナルファンタジーのベンチマークをデフォルト設定のまま走らせてみましたが、1920×1080 高品質(デスクトップ)で「15626 非常に快適」でした。もう少し伸びるみたいですが、この時はCPUにPL1,PL2ともに95Wの電力制限を掛けていました。因みにベンチ中の消費電力は一時的に400Wを越えていました。
映像出力端子からケーブルを抜いたら「Resizable BAR」が一時的に無効になっていましたが、TMPGEnc Video Mastering Works 8のエンコード速度は特に変わらない感じだったのでエンコードに関してはあまり影響はないのかも知れません。因みにいつの間にか有効に戻っていました。
不具合
大きな問題は起きていませんし、コイル鳴きも聴こえません(聴こえないだけかも…)。ただ、Intel Arc B580 Limited Editionを取り付けた後に以下のような問題が起きました。
付箋ISticky Notes)に文字が打てないことがある
一回のみ発生。
対処法はアプリの再起動。
タスクバーのアイコンが表示されなくなる
一回のみ発生。
スリープ復帰後にタスクバーのアイコンが表示されなくなりました。最初は真っ黒だったんですがカーソルを合わせるとアプリ名が表示されるので起動させるとそれ以降は表示されます。
対処法はタスクマネージャーのプロセスタブでエクスプローラーを再起動で復旧。
メインディスプレイが点灯しない
一回のみ発生。
デュアルディスプレイ状態でスリープに移行していたんですが、スリープ復帰後にメインディスプレイ(オンボードグラフィックス)だけ点灯ないことがありました。(サブディスプレイはArkのHDMIから出力)