モーショントラッキング [Motion Tracking]
目次 -index-
モーショントラッキングとは動画内の動くものを追尾し、その結果をキーフレームとして記録する機能です。そのキーフレームの動きは指定したレイヤーと同期させることができるので動きをリンクさせて色々なことが出来るようになります。
モーショントラッキングの基本的な使い方
トラッキング性能は別にしても数万もするEDIUS Pro8のモーショントラッキング(ver.8.2より実装)より無料のHITFILM 4 EXPRESSのヤツの方が断然使えます。EDIUSではマスク内でしか使えないのでトラッキングしたものを追尾する字幕などを作ることは出来ませんが、HITFILM 4 EXPRESSはキーフレームを他のクリップにコピペするような仕組みなので動くものを追尾する字幕を簡単に作ることが出来ます。
それでは本題のトラッキングの基本的な設定方法を解説していきますが、トラッキングを行うには手順があるのでその流れをデフォルト設定のまま説明します。細かい設定については別途解説します。
リンクの先のDENPO-ZIさんの動画はAfterEffectsのモーショントラッキングについての解説動画なんですが操作はちょっと異なりますが基本的なところは似てるので参考になると思います。
まず、参考にしたい動画をコンポジットショット用タイムラインに配置し、拡張ボタンを開くと「Tracks」の右にある十字ボタンがあるのでクリックします。コントロールパネルでも同様な操作が可能です。
レイヤーの項目が狭いと隠れてしまっている場合がありますのでそのような時は黄枠の境界付近をドラッグして広げると見えるようになります。
十字ボタンをクリックすると下位の階層に「Tracker」と言う項目が追加されます。この「Tracker」という名称は右メニューから変更可能です。
「Tracker」と言う項目が追加されると同時にビューワーの表示もレイヤービューに変わり、中心に緑と赤の四角い枠がふたつ表示されます。
尚、トラッキングはレイヤービューで行なわれるのでなってない場合はレイヤービューにします。因みにTrackerの項目をダブルクリックしてもレイヤービューになります。慣れないうちはこのビューワーの表示が切り替わったことに気付かずに操作に戸惑うことが多いので注意ポイントです。
トラックパネルにもトラッキングの設定が表示されるようになります。「Tracker」を選択していないとトラックパネルにトラッキングの設定が表示されないのでご注意下さい。
赤枠のボタンを押すとトラッキングが開始されますがその前に追跡する場所を設定する必要があります。
レイヤービューに表示されている枠で追尾するものを覆うんですがその前に枠とセンターにあるポイントについて説明しておきます。
▼検索領域Search area
緑の枠はSearch areaと言って動きの差を調べる為の検索領域です。この領域は広い方がいいみたいですがどのくらいが最適なサイズなのかはシーンにより異なるので色々試して体得して下さい。
同様の機能があるAfterEffectsのマニュアルだと検索する領域を小さく制限することで、検索時間が短くなり、検索が楽になるようなことが書かれていたので検索領域の広さは処理時間に比例するみたいです。四隅のポイントをドラッグするとサイズを変更できますし、枠内でドラッグすると移動できます。
▼ターゲット領域Feature area
赤枠はFeature areaと言って実際に追尾したいポイントを囲みます。はっきりと識別できる要素(できれば、実在する1つのオブジェクト)を囲むのがいいみたいです。この領域をドラッグするとすべてが一緒に動きます。
▼同期ポイントFeature offset
センターにあるポイントはFeature offsetといってトラッキングデータを他のレイヤーに同期させる位置を指定します。分かりやすく説明すると、動くものと一緒に字幕を追尾させようとした時に字幕の位置になるのがこのポイントです。なのでこのポイントは自由に枠外に移動させることが出来ます。トラッキングが完了したあとにFeature offsetを変更したい場合は修正して「APPLY」をクリックすると変更が適用されます。
これらのポイントや領域は数値で設定することも出来ます。また、こちらの項目からリセット(右メニュー)も出来ます。
トラッキングする場所を設定したら再生ボタンのようなアイコンを押すとプレイヘッドのある位置からトラッキングが開始されます。トラックコントロールは左から逆方向に1フレームトラッキング、逆方向連続トラッキング、順方向連続トラッキング、順方向1フレームトラッキングです。
トラッキングが完了すると図のように追尾した跡が記され、Feature Positionにキーフレームが設定されます。
何か表示する適当なテキストレイヤーなどを追加します。
そのレイヤー名をトラックパネルで指定して「Apply」を押すとトラッキングデータがレイヤーに適用されてます。
因みにトラッキングしたデータは指定したレイヤーのTrasform内にあるPositionのキーフレームとして設定されるのでトラッキングデータを削除しても動きは無くなりません。
さらに同じ動きに追従させたいレイヤーがある場合はParent(親子関係)にトラッキングで指定したレイヤーを親にしてやると同期させることができます。
サンプル動画ではちょっとカクついた動きになっているのは頭部を追尾するように設定した為です。字幕を追尾させたい時に全体の動きがトラッキングできるような位置を追尾するようにした方がいいみたいですね。
あと、ありがちなトラブルとしてトラッキングが終了したあとにレイヤービューのままになっているとレイヤーを追加してもビューワーになにも表示されないと言う事態に陥りやすいのでご注意下さい。
オプション設定
前章で端折った「Type」、「Method」、「Options」、「Purpose」などについて解説します。
トラッキングの種類 Type
トラッキングの種類にはトラッキングを1点で行うシングルポイントトラッキングと2点で行うダブルポイントトラッキングがあります。
▼Single Point (Position Only)
上下左右(X軸、Y軸)の動きのみをトラッキングするモードです。単純に動きだけを追尾する場合はこちらを選択します。
▼Double Points (Position/Scale/Ratation)
前述のモードに大きさと回転をプラスしたモードでなので立体的なトラッキングでできるようになります。
探索方法Method
メソッドとはおそらく、トラッキングを行う為の情報どのようにして取得して探索するかと言うようなことらしいです。
▼Optical Flow
明るさの違いで探索範囲内(緑の枠内)の動きをトラッキングします。このモードは追跡する特徴の形状がわずかに変化する場合に便利です。
▼Template Match
テンプレートマッチという名称が分かりにくいですが要はオプションの「Template Match」で設定した内容で探索する設定のようです。
トラッキングデータの使用方法Purpose
トラッキングのデータをどのように使うかを設定します。
▼Stabilize
手ブレ補正を行います。Applyをクリックするとトラッキングを設定したレイヤーのTransformにあるアンカーにキーフレームが設定されます。スタビライズはトラッキングしたレイヤーに適用されます。尚、手ブレ補正を行うと映像の端っこが切れてしまうのでスケールを大きくしたり、上位レイヤーにマスクなどを設定して粗が見えないようにする必要があります。
▼Trasform
位置キーフレームとして使います。動きをリンクさせるレイヤーを指定しないと何の効果も現れません。
適用場所Property checkboxes
キーフレームを設定する項目にチェックを入れます。RotationとScaleはTypeでDouble Pointsを選択すると有効になります。
キーフレームを適用したレイヤーのキーフレームはチェックを解除して再度、適用してもキーフレームが削除されることはありません。このような時は該当するキーフレームをリセット(右メニューにある)してから再適用します。尚、位置Xだけ適用したものに位置Yを適用するといった、設定してないものを追加することは可能です。
▼X-position
位置Xの項目にキーフレームを設定します。
▼Y-position
位置Yの項目にキーフレームを設定します。
▼Rotation
回転の項目にキーフレームを設定します。
▼Scale
大きさの項目にキーフレームを設定します。
オプションOptions
▼Error Tolerance [デフォルト値:25%]
エラーの許容量をパーセンテージで設定します。この許容量を超えるとトラッキングが停止します。つまり、トラッキングの精度を設定する項目のことなので設定値を大きくすると枠から外れても停止せずにトラッキングが続けられますし、小さくすると頻繁に停止するようになります。
▼Iterations [デフォルト値:15]
反復回数を設定します。反復回数を上げることでより正確な追跡結果をもたらしますが処理に時間がかかります。
▼Channels
トラッキングに必要な情報源を色(RGB)の違いを参考にするか、明るさ(Luminance)の違いを参考にするかの違いのようです。
▼Comparison method(比較方法)
テンプレートマッチングとは画像処理の一手で、特定のパターンを検出するための画像などを用意し、観測画像と照らしあわせて当該箇所を検出する方法だそうです。その検出方法を指定しますが意味不明です。筆者はギブアップですが下記のリンクにそれらしきことが書かれていたのでヒントになるかも…。
・Square Difference
・Normalized Squared Difference
・Cross Correlation
・Normalized Cross Correlation
・Correlation Coefficient